犬のしつけの基本

フードを使ったしつけでの注意点

学習理論に基づいたトレーニングは
「いいこと」が提供できないと成り立ちません。

フード(ドライフードやおやつなどの食べ物)は、
飼い主側が簡単に提供できる「いいこと」となります。

ただ、フードを用いたトレーニングには注意も必要です。

注意を怠ると「フードの切れ目が縁の切れ目」、
フードがないと何も言うことを聞かない、そんな犬になりかねません。

例えば、犬に何かを教える際、常に袋からガサガサとフードを取り出す、
タッパウエアをパカンと開ける。いつもそうしていれば、

犬は前触れを感じ取るのが得意ですから、そのガサガサ音、パカン音を
飼い主がフードを手にした合図と理解してしまいます。

もっと悪いのは、フードを見せびらかすことです。

フードを視覚で確認できないと、飼い主の要求に全く従わなくなってしまいます。

そうならないために、フードは音をたてず、
しっかり握りこむ、もちろん持つところを見せない。これが大事になります。

ごほうびポーチなどを使うのはいいでしょう。
あらかじめポーチに食べ物を入れ、そのポーチを犬から見えない場所につけることです。
(飼い主の背中側)

そうすれば、後ろ手に、犬にわからないように食べ物を握りこむことができます。
犬に食べ物を持ったか持たないか、わからないようにできるわけです。

フードでのしつけ

普段のフードを「いいこと」として使えれば問題はありませんが、
おやつ類を「いいこと」として用いる場合は、与える量にも注意が必要です。

主食のドッグフードの栄養バランスを損なわないためには、
1日の摂取カロリーの90%以上を主食のドッグフードから摂取する必要があります。

1日に必要なカロリーが例えば500キロカロリーの犬であれば、
主食で450キロカロリー摂取し、50キロカロリーまでのおやつを
トレーニングに用いるということです。

主食で必要な量を与えて、それにプラスしておやつ類をあげていれば、
確実に犬は太っていきますので注意しましょう。

フードを使ったしつけの2つの役割

しつけで使うフードには、2つの役割があります。
1つ目の役割は、誘導の道具です。

行動を形づくるためにフードを利用します。
おすわりであれば、フードの魅力で犬の鼻先を上に向け、お尻を床につくように導く。

海外のインストラクターは、釣りの道具に例えて「ルアー」と言います。

2つ目の役割は、報酬です。
原理原則の1つで4つの学習パターンでお話しした「いいこと」です。

→ 「犬の学習パターン

誘導の道具としてのフードは、新しい行動を教えるために必要です。

繰り返し誘導で行動を教えると、
やがて犬はどういった行動を取ればいいことが起きるかを、理解してきます。

お尻を床につければいいことが起きる、このことを犬が十分に理解してくれば、
フードを握りこんだグーの手の動きを見ただけで(匂いをかがさなくとも)、
犬はその行動を取ってくるはずです。

この段階で、誘導の道具としてのフードはもう必要ありません。
どんどん抜いていき、やがてゼロにしていきます。

フードの匂いをかがせなくても、グーの手の動きだけで行動に導ける。

にもかかわらず、いつまでもフードの匂いをかがせていると、
犬にとっては「くんくん…そのフードならやりません」という態度を見せてきます。

そうならないように誘導のフードは、意識的に早めに抜いていくことです。

フードの匂いで

一方、報酬としてのフードはどうでしょう。

誘導の道具としてのフードが抜ける段階になっても、
報酬のフードの方はまだしばらく抜きません。

しつけを重ね、フードを握らないグーの手の動きで犬を確実に、
導きたい行動に導ける段階まできたら、報酬としてのフードも抜いていきます。

もちろん、「ほめ言葉=いいこと」と犬が理解できていることも、その必要な条件となります。

報酬としてのフードを抜くときは、2回に1回、5回に1回など
規則性を持たずに行うことが大事
です。

不規則にフードの報酬を与えることで、犬はいつもらえるか予測がつかず、
その行動を意欲的にとり続けるようになります。

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